◆おしの◆
(30首)

わたしがかって愛したひとりの男のために

閲覧者のみなさんからもおしの短歌募集します。
面白いおしの短歌ができたら「黒猫館メイン掲示板」に書き込んでください。

ルールは短歌のなかに「おしの」の三文字が入っていることだけです。

 

(序)

俺25歳、おしの31歳、真夏 すべてはそこから始まったんだ





(裸身)

たおやかで華奢なおしのの裸身(はだかみ)が闇の月夜に妖しく映ゆる

桜散る闇 無残に汚されてゆく花となれ おしの!

仏道とはわれ縁なしと思えども暁の寺にておしの切腹す 享年41歳

マイルスのトランペットに操られ いつしかおしのは舞ひ狂ひたり

おしのもし転生為すならたおやかで華奢な少年ストリッパー

新宿二丁目のくらがりで哭いているのはおしの一匹

誰一人おらぬ店内におしのがひとり哭いている 新装開店ブディック・オシノ

出陣す おしのに別離(わかれ)の涙などいらぬ 唯、勝ちて還れ




(晩秋)

虐殺+エロスの映画観て震えておるよ おしのを撫ぜる

奴はおしの かっては俺に泣きついた昔の濡れ場は忘れてやろう

俺に軽くあしらわれ泣きついてくる おしのかわゆし

おしの読む『カント』を破りエロ本を奴の目の前つきつける・・・哭

ビンタ張りおしの泣かせた後悔の無残なるかな黒き晩秋

セックスに雪崩れて往かんとする危うさが俺とおしのの均衡保つ

全身革武装・おしのの前で全裸で哭いている俺がいる




(元禄のすゑ)

おしのの腹は悲しみの厚さ 涙を一滴こぼすたび腹が一ミリ厚くなる

世田谷の高級マンション一室でおしの泣き濡れダニと戯むる

「でぶ・・・ッ!」 トランポリンのやうなおしのの腹にドロップキック!

貴種流離流れの果ての川原におしのひとりの風のあばら屋

しのちゃんと呼ばれし頃を涙しておしの玄海灘を往きて還らず

おしのといふをんな吉原の闇に消え往きし時などもありき 元禄のすゑに 



(伝説)

小田急・下北沢駅におしのおまえのまぼろしを視る 2009年晩秋

「ガンダム」を揶揄されしゆえおしのぶちのめした怒り今は遠く

闇の中で泣きじゃくるおしの 俺が手をさしのべないでどうする!

生活能力持たぬおしのゆえ今頃はホームレスに堕ちているのか

いつかおしのも骨となる 拾ってやるから生涯俺についてこい!

おしのと別れてはや20年 生き延びてゆけ東京砂漠

20年後、社長の俺とウリ専のおしのが出会う二丁目の闇

人生の艱難辛苦のさいはてにおしの往き付く楽園のあれ

秋田より遠くおしのを愛す 伝説はまだ終わらない

 

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)