アルカトラズ市立山王中学校1980 

 いまだ続いているフラッシュ・バックと鬱と強迫観念に呪いと愛をこめて。

 

 

1980春4月地獄の門に桜散る


入学式 「奴ら」も普通の少年だった そして俺も


「ニンゲンノクズ」とノートに記されてのち・・・悪夢開版


ガクランのバリケードに囲まれてこれから始まるリンチ二時間


「本棚のプレス序序に重くなる」布団投げ出し今夜も悪夢か


「ケリ入れて吐いた汚物をまた喰わす」山王流のヤキの入れ方


救命のごと担任の部屋に逃げ込めばその女教師は笑っていた


ブリーフさえ剥ぎ取られては晒し者 女が嘲う


血みどろのリンチの果てに「感謝しろよ」と奴らの声


女便所に監禁二時間 引き裂きたくなるほど青い空だった


便所の床を舐めさせられて十三にして知る人生の味


顔の形が変わるほど殴られたから美男子になったと奴らが言った


丸裸でグラウンドに放られた友を見てなきながら突っ立っていた


ここは地獄か?市立山王中学校 行きたくないが行かねばならぬ!


「通信簿1と2ばっかりだ!」・・・地獄でなにを学ぶのか父よ・・・


椅子にはいつも画鋲があった クラス全員がニヤついている


「ヤキイレル」と称すればすべて許される畜生天国市立山王中学校


「イジメラレルガワニモモンダイガアル」と言われ職員室さえ追われていった


「中学残酷物語」そのエピローグは三十路越えても訪れず


「ヤル」・「ヤラレル」以後それだけが俺の基準だ


街ゆく人も「奴ら」に見えて俺は子鼠のやうに逃げ去ってゆく


「もしかしたら」と同窓会に行ってみればやはり嘲笑なにも変わらぬ


以後三年 俺はオシとなって誰とも口をきかなかった


「天刑トシテ『イジメ』を認識ス」 人はそれをマゾと笑う


奴らを、親を、国家を呪い、そしていまでは神を呪う


春四月あの櫻とともに俺も散ったのだ。さらば「イジメ」よ さらば「人生」



(初稿2000年1月4日)
(決定稿2002年4月7日)  

 

darker than darkness

 

(黒猫館&黒猫館館長)