2018年・黒猫館冬物語

 

 

(『RE:ゼロから始まる異世界生活』より「レム」のイラスト) 

 

 2018年。

 1月。

 わたしは死に瀕していた。

 わたしの父のパーキンソン病が要介護度3へ進行、介護がますます深刻度を増してゆく。

 そして秋田市は今年、実に記録的な厳冬、連日の真冬日が続く。
 真冬日といっても東京のような生ぬるい真冬日ではない。
 最高気温も最低気温も氷点下である文字通り死の季節が秋田の冬なのだ。

 そして2018年1月、わたしの母がインフルエンザに倒れた。
 父と母の介護をわたしが一手に引き受ける。

 さらにわたし自身が重度のインフルエンザに侵されたのが1月下旬。
 寝ていても起きていても胸が苦しい。
 背中が引き絞られるように痛い。
 タミフルを飲んでも治らない。
 このまま肺炎になってしまうのか?と思ったらゾッとした。

 気温の低さなのか寒気なのかわからない異常な寒さを感じながら、わたしはぼんやりとじぶん自身の死について考えていた。
 末井昭(元白夜書房社長)の『自殺』を読みながら↓

 

 



 2月。

 ますます寒さが厳しくなってゆく。
 家族3人が寝たきりの状態。
 しかしわたしのインフルエンザが少しづつ回復の兆しを見せ始めた。

 そんな中、香川県の親愛なる古書店「古書きとら」氏から限定本『陰獣』入荷の知らせが入る。
 この『陰獣』は東京都のプライベートプレス「藍峯舎」第七回刊本であり、限定220部の希少かつ豪華な本である↓

 

 



 この『陰獣』をゲットした瞬間に運命の流れが変わったような気がする。
 人生とは実に不思議なものだ。
 良いことが一個でも起こればドミノ式に良いことが連鎖的に起こるものらしい。

 まずわたしのインフルエンザが完治した。
 次に母のインフルエンザも完治した。

 これでわたしの家の深刻な危機は去ったように思われた。
 もちろん父のパーキンソン病という脅威は依然としてわたしの家庭を脅かしている。
 しかし当面の深刻で重程度の危機は去ったのである。

 そして3月。
 冬が終わる日。
 わたしは3月1日に、畏友A氏から勧められて観初めていた全25話の長編アニメ『RE:ゼロから始まる異世界生活』を観終わった。無論素晴らしい作品であった。
 このリゼロというアニメが2018年冬のわたしの精神的支柱となって、わたしの精神を支えてくれたことは言うまでもない。

 このアニメを観終わった記念にわたしは、「リゼロ」の人気キャラ「レム」のイラストを描いた。この画面の一番上にあるイラストである。イラストには描かなかったがわたしはこのイラストに「希望」をいう題名をつけよう。
 レムの背後に広がっている黄色い世界は今まさにそこまで来ている希望なのだ。
 わたしはそのように固く信じている。

 さて、わたしがこの危機的な冬を越冬するのにしてくれた協力してくれた諸君。
 こころからありがとう。

 香川県の「古書 きとら」氏。
 東京から長距離電話でわたしを励ましてくれる昔からの友人たち。
 秋田市の畏友・A氏。
 父の介護を助けてくれるケアマネージャー&ホームヘルパーのみなさん。
 そして何より黒猫館でわたしと交流してくれる閲覧者の皆さん。

 冬が終わる日、それを今わたしはありありと体感している。
 また今後、色々な危機が訪れることはありうる、十分にあるだろう。
 しかしわたしがレムのイラストに描いたような、しっかりとした「希望」を持っていれば人間はそう簡単に潰されることはない。
 人間とはそこまで弱い存在ではないのだ。

 3月。
 今、春は訪れる。


 「This endless dead end
 君を砕くこの悲しみが
 いつか終わりますように
 For now I'll see you off」

 RE:ゼロから始まる異世界生活・ED主題歌・『STYX HELIX』最終部分より引用。


 
 了&合掌&南無阿弥陀佛。

 

(2018年6月&黒猫館&黒猫館館長)