わたしにとってのふたつの「ラブコメ」

 

(2016年12月28日)

 

 

 

 

 

  1 10周年を迎える『To LOVEる -とらぶる-』。


 わたしが『とらぶる』という作品を知ったのは2010年、東日本大震災が起こる一年前である。
 『もっとTo LOVEる -とらぶる-』という題名だったと思う。これは2008年の『To LOVEる -とらぶる-』というアニメの続編であり、『To LOVEる -とらぶる-』シリーズのアニメ化としては2期にあたる。

 ここで『To LOVEる -とらぶる-』をご存知ない方について説明すると、平凡な男子高校生「結城リト」の自宅に宇宙から「ララ」「金色の闇」「モモ」「ナナ」などの宇宙人の美少女がぞくぞく押しかけてきて、さらに地球人の美少女である「西蓮寺春菜」や「古手川唯」と共に非日常的なドタバタ・ラブコメディが巻き起こる、というのが大筋である。

 この『To LOVEる -とらぶる-』シリーズは現在『To LOVEる -とらぶる-ダークネス』、『To LOVEる -とらぶる-ダークネス 2nd』(つまり現在では4期)までアニメ化されており、わたしはそのすべてをリアルタイムで観ているほどの『To LOVEる -とらぶる-』ファンなのである。

 もちろんわたしはアニメでは飽き足らず、原作の『To LOVEる -とらぶる-』も全巻読破している。

 こういうわたしのあまりにも熱心な『To LOVEる -とらぶる-』ファンぶりに呆れる方も多いだろう。

 「イイ歳したオトナが少年漫画(しかも学園ハーレムものラブコメ)に入れ込むなんて。」

 しかしそんなことを言われてもわたしはこう言うしかないのである。

 わたし「好きなものは好きだからどうしようもない」。

 そんな『To LOVEる -とらぶる-』シリーズがついに雑誌連載開始から10周年を迎えるという。
 
 10年である。これは長い。
 10歳の小学生が成人を迎える年月である。

 そんな『To LOVEる -とらぶる-』10年目の秋10月、わたしはある既視感(デジャヴュ)にとらわれていた。それはわたしが遥か昔、今よりずっとずっと若かった頃、高校生の時代である。



 2 『うる星やつら』という狂気。


 実はわたしが「ラブコメ」に熱心に入れ込むのは『To LOVEる -とらぶる-』が最初ではない。
 
 高校時代、わたしは高橋留美子原作アニメ『うる星やつら』(アニメ放映=1981~1986年&218話)の熱心なファンであった。
 いや、「ファン」というのでは生ぬるい言い方だろう。
 その時期、わたしの『うる星』熱は狂気の段階にまで達していた。

 朝起きて『うる星やつら』。
 昼、学校に行って授業中に『うる星やつら』のことを考える。
 下校時、夕日を見ながら『うる星やつら』のことを思い出し、なみだぐむ。
 寝る前、『うる星やつら』を思い出してシアワセな気分に浸る。

 それはもはや病気であり、狂気であった。
 そして毎日が祭りであった。「人生は祭りだ」。

 わたしは高校三年間を『うる星やつら』のために生きていたといっても過言ではない。

 結局、わたしの『うる星やつら』熱は大学生の時代まで続くことになる。



 3 わたしにとってのふたつの「ラブコメ」。


 さてここでわたしは妙なことに気づいた。
 
 『うる星やつら』と『To LOVEる -とらぶる-』、この2作品には共通点が多すぎるのだ。
 あまりに共通点が多いので2作品のメインヒロイン「ラム」(『うる星やつら』)と「ララ」(『To LOVEる -とらぶる-』)に絞って共通点を挙げてみる。

・メインヒロイン。
・名前が「ラ」で始まる。
・宇宙人。
・主人公に惚れて、その家に居つく。
・天真爛漫な性格。
・理数系に強くいろいろな発明をする。
・鬼&悪魔という「悪物」イメージ

 
 なんだ、ラムとララってほとんど同じじゃん、と言ってしまえるほどにこの二人のヒロインは似ている。

 『To LOVEる -とらぶる-』は『うる星やつら』の20年ぶりの変奏なのではないか。
 そして『To LOVEる -とらぶる-に夢中になって入れ込むわたし自身もまるで、「二度目の青春」を謳歌しているようだ。

 青春、それは普通の人間には一度しか訪れない。
 しかしわたしの場合はこのふたつの「ラブコメ」作品によって二回の青春を経験してしまっているように思える。

 それは単にわたしの「気が若い」、それだけの問題かも知れない。
 しかし、青春を謳歌できるだけの「若さ」をわたしは『To LOVEる -とらぶる-』という作品から再び引き出されたのだ。

 僥倖。
 まさになんという僥倖であるのだろうか。
 2回青春を経験するなんて、普通の人間には到底できないことなのだ。
 そういう意味で、わたしは『To LOVEる -とらぶる-』という作品に心底感謝している。



 3 思い出はいつも若く。


 こうして見ると、わたしは心底「ラブコメ」が好きな人間なのだと思う。
 男と女(もちろん、男と男&女と女でも良い。愛の前には性別などどうでもいいことなのだ。)がいちゃいちゃ(甘えあう)する。
 その姿は美しいではないか。
 見蕩れてしまうではないか。
 癒されるではないか。

 ラブコメが嫌いな人間、などという人物がもしいたら、そういう人間とはわたしは友だちにはなれないと思う。

 そしてかつてあった数多のラブコメたち!!
 
 『天地無用!』『涼宮ハルヒの憂鬱』『とらドラ』『化物語』『中二病でも恋がしたい』『氷菓』『電波女と青春男』『さくら荘のペットな彼女』『這いよれ!ニャル子さん』『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件』『CLANNAD』『未確認で進行形』『こばと。』『黄昏乙女×アムネジア』『ゆるゆり♪』『桜トリック』『モンスター娘のいる日常』・・・

 こうやってあげていけば、わたしは一晩でも記憶を辿ることができる、それほどたくさんのラブコメをわたしは愛してきた。
 さよう、思い出はいつも若く、その作品はいつもわたしのとなりにある。

 もちろん「時」という名の残酷な奔流に飲み込まれて、無数のラブコメが消滅してきたことだろう。『うる星やつら』も『To LOVEる -とらぶる-』もやがては記憶の葉脈に埋もれて透明になって消えてゆく運命をたどることだろう。

 しかしだからこそ、わたしは愛おしいのである。
 かつて名も知れぬ男と名もしれぬ女が恋に落ちました。

 ただそれだけの物語。
 その記憶を握り締めてわたしは、また新しく現れるラブコメの世界にダイブしてゆくことだろう。

 さよう、ただそれだけの物語でした。
 本日のわたしのお話もひとまずこれで終わりである。
 

 

 

(↑おもいではいつも若く、そしてフォーエヴァー↑) 

(黒猫館&黒猫館館長)