相棒U

 

 

 

(討論日=2011年1月26日) 

  

 

 

 

 土野雨郎「萌え〜〜〜〜〜〜!!イヤ!燃え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 映画おたく「なにまた興奮しているのよ。オサーンよ・・・」
 土野雨郎「若手の刑事二人のシャワーシーンとわ・・・萌え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
 映画おたく「ああ〜〜〜?何の話だあッ?・・・」
 土野雨郎「話題の映画『相棒U』の話しだす!!神戸尊と大河内春樹が一緒にシャワーを浴びるとは!!腐女子的にたまりまへんわ!!ンもお!」
 映画おたく「オサーン、男だろ・・・」
 土野雨郎「くわーーーーーーーーー!男だからこそ燃える熱い映画!警視庁にテロリスト・八重樫が侵入する!そして警視総監以下12名を人質に取るとわ!!そして始まる「相棒」杉下右京&神戸尊の大活躍!!これぞ映画!これぞアクション映画!!くわーーーーーーー!男の血が燃える!!」
 映画おたく「オサーンよ。おまえ、そこだけ観て後は寝てただろ・・・」
 土野雨郎「ん?だって前半がこの映画の最大の見せ場ぢゃ?・・・」
 映画おたく「この野郎!!(ボカッ!)」
 土野雨郎「痛いだす!痛いだす・・・ふえ〜〜〜ん(うそ泣・ニヤッ!)
 
 黒猫館館長「わたしも土野君に同感だ。映画のつかみとしては八重樫が警視総監以下12名を人質に取るシーンは観客の「ツカミ」という点で絶対必要だったと思うぞ。」

 映画おたく「またイイ所で出てきたな。館長さんよ・・・ところでこの映画で真に重要なのは後半だよ。公安警察と八重樫の癒着・そしてさらに明かされる警察庁長官・小野寺公顕の巨大な陰謀・・・」

 黒猫館館長「その点はわたしも十分承知している。ただ警察庁・警視庁内部のドロドロした内部告発ものに終わっていない箇所をわたしとしては評価したい。この映画は警察の内部汚職テーマとしても超一流であるが、それ以前に優れたアクション映画である、と評価したいのだ。」

 土野雨郎「公安警察って何だす?」
 映画おたく「通常の犯罪を取り締まるのが刑事警察、思想犯を取り締まるのが公安警察だ。」
 土野雨郎「勉強になるますた!!」(土下座!)

 映画おたく「さて館長さんよ。この映画の犯人・八重樫の「動機」についてどう思う?」
 黒猫館館長「その言い方は正確ではないな。八重樫と公安警察は癒着していた。この映画は「被害者」はもちろん警察。そして「真犯人」は公安警察。つまりこの映画は「自作自演」型の犯罪を描いた映画と言えるだろう。無論、公安警察の「動機」は公安警察の刑事警察に対する優位を主張する、つまりテロリスト対策をもっと強固に実施すべきだ、という「正義」に基づいて行われている。そういう意味でこの映画における事件には、通常、犯罪の発生の際に用いられる「動機」という言葉は正確ではない。」

 映画おたく「それでは館長さんよ。「動機」が無いならこの映画における「犯罪」は「犯罪」ではなくなるな。それでは一体この映画では何が起こっていたんだ?」

 黒猫館館長「「犯罪ではなく「悲劇」と言ったほうが近いと思う。この映画の事件において起こっていたことは、アルカイダ系テロリストのテロを未然に防ぐためには公安警察の権力強化が必要であるという極めて納得できる「社会的要請」だ。」

 映画おたく「じゃあ、館長さんよ。この映画は「刑事もの」ではなくて「文芸映画」になってしまうな。犯人無き犯罪。必然的に起こった悲劇、そんなものにアンタがさっき言った「アクションシーン」など必要なのかね。それ以前にこの映画は娯楽作品ですらなくなってしまう。」

 黒猫館館長「限りなく「悲劇」に近い「犯罪」とわたしは思いたい。思い出してみたまえ。映画おたくの諸君。この映画のラストを。」

 映画おたく「警察庁長官・小野寺公顕と杉山左京が「対決」するシーンだな。」

 黒猫館館長「そのとおり、あのシーンで「正義は相対的なもの」と言い張る小野寺を厳しく見つめる杉山右京がいたな。あのシーンでの右京の怒りの形相に、この事件を「悲劇」として終わらせるのではなく、あくまで「犯罪」として裁こうという強い意志が感じられる。」

 映画おたく「正義は相対的なもの。立場が変われば正義も変わる。小野寺公顕の考えに俺たちは賛成だ。」

 黒猫館館長「いや、わたしはそうは思わない。正義は絶対的なものだ。」

 映画おたく「ふふ・・・館長さんよ。また意見が割れたな。あくまで「相棒U」を優れた刑事映画として評価したい気持ちはわかる。しかし正義は絶対的なものと言い張るアンタの姿はあまりに「古い」と言わざるを得ない。」

 黒猫館館長「たとえ「正義」が相対的なものだとしても、それでも「悪」を断罪する、それが警察ってものじゃないのかね?映画おたくの諸君?」

 映画おたく「ナンセンス!館長さん、アンタの考えは極めて情緒的・感傷的すぎる。」

 黒猫館館長「それでもわたしは「悪に対する「正義」を信じたい。・・・どんなに世界が変遷しようと、それでもやはり「正義」は存在する。」

 映画おたく「ふッ・・・館長さんよ。アンタの考えはわかる。しかし今回は俺たちの勝ちだ。」

 黒猫館館長「・・・今回は少々君たちに遅れを取ったことは認める。しかし次はどうなるかわからんぞ。」

 【討論終了】




 【得点】

 土野雨郎=10点。
 映画おたく=60点。
 黒猫館館長=30点。

※採点は全100点から各討論者に割り振られる。

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)