それでもボクはやってない

(2007年日本映画)

 

監督・脚本=周防正行
出演=加瀬亮・瀬戸朝香・山本耕史・もたいまさこ・役所広司・他 

 

(カーーン!)←ゴングの音

土野雨郎「恐いだす・・・恐いだす・・・この映画だけは・・・くーーーー!!(泣)」
映画おたく「土野・・・さすがの俺らも今回だけはお前に同感だ。」
土野「おたくのみなさま!!わかってくれるだすか!?くくーーーー!!!(号泣)」
おたく「わかるもなにも、俺らだってこの映画を観てぞッとしたぞ。」
土野「こんな・・こんな・・・むごいことが・・・」
おたく「おうよ。この映画の恐怖はすべての現代人が味合うものだな。満員電車で痴漢と間違われ、拘置所にぶち込まれ、そして裁判、衝撃のラスト・・・。現代日本の全男性が恐怖するまさに「ホラー映画」の極地だな。
黒猫館館長「おたくの諸君、今回はわたしも同感だ。」
おたく「ケッ!いつも良い所で出てくるじゃんかよ・・・館長さんよ。」
館長「まあ、そう嫌わんでくれ(苦笑)」
おたく「早く言ったら・・・館長様の有りがたいご意見をよ・・・」
館長「まあ、そう急かさないで順序だてて行こう。」
土野「(キリリ!)」
館長「おたくの諸君がこの映画を「ホラー映画」と評したのは正しいと思う。わたしもまたこの映画は「痴漢冤罪を扱った社会派映画」である以前に超一級のホラー映画だと思う。」
おたく「今回は話が合ったな。館長さんよ・・・」
館長「淡々と進むストーリー、しだいに追い詰められてゆく主人公、そしておたくの諸君も指摘した衝撃のラストシーン、どれをとってもカフカの「審判」(オーソン・ウェルズが映画化)を思わせる不条理ホラー映画になっていると言ってよかろう。」
土野「恐いだす・・・恐いだす・・・」
おたく「ヘタなホラー映画より百倍恐いな、この映画は。」
館長「じっとりとした湿った恐怖がこの映画から感じられるな。しかし語り口が明快なので「恐い」だけではなく「面白い」のだ。」
おたく「確かにこの映画は「面白い」な。約140分という長尺をみじんも感じさせなかったと思う。」
土野「わだすは恐くて恐くてとても「面白い」などと・・・は・・・パコッ!(←おたくにど突かれる。)」
館長「つまりこの映画はまさに「超一流の娯楽映画」として立派に成立しているということだ。ここが重要だ。」
おたく「同感。」
館長「「娯楽映画」でなければ映画に込められた「メッセージ」を広く社会にアピールすることはできない。ただ「主張」だけが先走った「アジテーション映画」を誰が観たいと思うかな?」
おたく「全く同感。館長さん、あんたの言いたいことは要するに「大学への批判は大学に入ってから言え」と同じことだな。」
館長「まさにそのとおりだ。一本の映画を秀逸な娯楽映画として仕立て上げる力量があるからこそ、この映画に込められたメッセージが生きてくるのだ。わたしはこの映画を痴漢冤罪の恐怖に脅える現代の全男性のみならず、全女性にも楽しんで観てもらいたいと思う。楽しんで観てもらったあとに「痴漢冤罪」という「社会問題」について考えてもらえればまさに「100点」だ。」
おたく「館長さんよ・・・今回は意見が合致したな・・・」
土野「ぶるぶる・・・わだしだけですか、、、恐くて恐くて、とても面白いなどと・・・」
おたく「うるさい、!!土野・・・なんなら、おまえも裁判受けてみるか??ウヒヒ・・・」
土野「きゃーーーーーーーー!!(逃走)」



館長「最後にこの映画に込めれれたメッセージをここに掲げて今回の討論を締めくくろう。」

「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜(むこ)を罰するなかれ」。(法曹界の諺)

 

☆映画の評価☆

土野雨郎 75点
映画おたく 90点
黒猫館館長 95点

 

 

☆討論者の得点☆

土野雨郎 20点
映画おたく 40点
黒猫館館長 40点

 

 

黒猫館&黒猫館館長