平野俊貴の部屋

 

吸血姫美夕 吸血姫美夕(学園風) 吸血姫美夕(+ラヴァ) イクサー1
イクサー1(+ビックゴールド)
吸血姫美夕(原作VER)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吸血姫美夕

 

【作品データ】

「基本データ」

題名は「吸血姫美夕」(ヴァンパイアみゆう)。

■OVA版

1988〜89年。原作=垣野内成美・平野俊貴。監督=平野俊貴。脚本=会川昇。音楽=川井憲次。クリーチャーデザイン=森本端泰。声の演技=渡辺菜生子。全4話。1話30分。

■TV版

1997年〜98年。テレビ東京で放映。全26話。第2話は欠番。原作=垣野内成美・平野俊貴。監督=平野俊貴。シリーズ構成=早見裕司。音楽=川井憲次。クリーチャーデザイン=門之園恵美。声の演技=長沢美樹。

 

「概要」

 「ヴァンパイアみゆう」と読むアニメ作品の主人公。「神魔」と呼ばれる怪物を狩る「監視者」。かって「西洋神魔」であった「ラヴァ」と呼ばれる仮面の青年と行動を共にする。
 内容的には、基本的なフォーマットは美夕が神魔(怪物)を狩るという「ゲゲゲの鬼太郎」や「どろろんエンマ君」と同様の「妖怪ハンター」ものであるが、それらの作品より、耽美的・幻想的色彩が強い。特にOVA版の美夕は美少年をたぶらかすなどの小悪魔的キャラクターとして描かれており、完全な「勧善懲悪」的作品とは断定できない作品である。なお、TV版は放送倫理の規約からか若干「勧善懲悪」的色彩が強い。

 なお、なぜ「第2話」が放送されなかったのか?についての謎については現在に至るも諸説が紛糾し判然としていない。

 

 

【イラスト解説】

 

 美夕の憂いを含んだ表情が「悠久の時を生きる存在=ヴァンパイア」としての哀しみをありありと表現しています。
 美夕が扇子を持ち、あたかも「踊るように」描かれているのはそんなヴァンパイアとしての哀しみを紛らわすためでしょうか。 非常に示唆に富んだイラストに仕上がっています。
 また着物の袖が洋服のように閉じられていたり、バックの花が牡丹を連想させたりすることから、完全な日本風というより「和洋折衷様式」(唐様)の印象を強く受けるイラストです。
 紅い扇子がイラスト全体のアクセントとなって画面を引き締めています。

 

 

 

  

吸血姫美夕(学園VER)

 

 

【作品データ】

同上

【イラスト解説】

 このページの一番初めの美夕を「神魔の監視者」としての美夕であるとすれば、この「学園VER」の美夕は「日常生活における美夕」の姿と言えそうです。
 ヴァンパイアとはいえやはり人間世界の身をやつして生きてゆけねばならないので、しばらく高校生として学園に「滞在」している雰囲気です。
 イラスト的には美夕の「勝気な目」が彼女の性格をありありと示しています。またバックのピンクの桜が春四月の「艶かしさ」をありありと表現しています。
 ちなみに美夕の肩に乗っている生き物は「死無」と言って通常の動物ではないようです。

 

 

 

吸血姫美夕(+ラヴァ)

 

【作品データ】

同上

 

【イラスト解説】

 美夕とその同伴者にして下僕である「ラヴァ」のコラボレーション・イラストです。
 見事にラヴァの特徴である「怖い・鋭い・まがまがしい」手が前面に大きく描かれています。わたしはラヴァの最大の特徴はこの「鋭い手」ではないか?とにらんできましたが、まさに敵をズバッと切り裂く「恐ろしい手」が大きくはっきりと描かれています。
 また能面のような無表情なラヴァの仮面、そして紅い着物を纏った美夕と見所の多いイラストです。
特にバックの紅が怪奇ファンタジーとしての美夕の世界観をありありと表現されています。

 

 

 

 

 

イクサー1

 

【作品データ】

「基本データ」

題名「戦え!イクサー1」1985〜87年。OVA作品。全3巻。一本30分。原案=阿乱霊。監督・脚本=平野俊貴。音楽=渡辺宙明。声の演技=山本百合子。 

「概要」

 「戦え!イクサー1」は美少女漫画家・阿乱霊が雑誌「レモンピープル」に連載した短編漫画が原案となっている。それを元に平野俊貴が全く新しいコンセプトでリニューアルして「アニメ版・イクサー1」が誕生した。
 宇宙を流浪する悪の組織・クトゥルフに善なる心を持つ人造人間「イクサー1」が立ち向かう。
 この作品は当時大流行していた特撮ドラマ「宇宙刑事シリーズ」の影響を受けており、音楽に渡辺宙明を起用したり、イクサー1がレイザーブレイドのような剣を使ったり、巨大ロボ・イクサーロボにイクサー1が乗り込んで戦うなど極めて特撮色の強い作品となっている。
 なお、続編として「冒険!イクサー3」(一本30分・全六巻)が制作され、イクサー1、2、3、が勢ぞろいして敵と戦うなど「戦隊シリーズ」を思わせる展開を見せてファンを喜ばしてくれた。

 

【イラスト解説】

 まずイクサー1が「飛ぶように」描かれているのが興味深いです。イクサー1では宇宙空間や異空間を舞台とした戦いが多かったので、このイクサー1も重力の影響を受けていないようです。
 またイクサー1の顔つきが非常にシリアスで、まさにこれからクトゥルフと戦おうという気迫に漲っており、非常に力強い印象を受けます。
 イクサー1の複雑なコスチュームも上手く描けており、総じて「イクサー1」というキャラの魅力を最大限に見せてくれるイラストに仕上がっています。

  

 

  

イクサー1(+ビックゴールド)

 

【作品データ】

同上

【イラスト解説】

 ビックゴールドはイクサー1の敵組織「クトゥルフ」の長にしてイクサー1最大の敵です。普段は胎児のように丸くなって寝ていますが、時々顔をひきつられて「ニヤリ・・・」と笑います。この笑いが非常に不気味で特徴的なキャラです。
 イラストはイクサー1のバックに大きくビックゴールドが描かれており、まさに「敵首領の強大さ」をありありと感じさせてくれるイラストとなっています。またほぼ金色で統一された不思議なビックゴールドのデザインにも着目してみましょう。

(彩華さん&黒猫館&黒猫館館長)

  

 

  

吸血姫美夕(原作VER)

 

 

 

【作品解説】

「基本データ」

題名は「吸血姫美夕」(ヴァンパイアみゆう)。

■OVA版

1988〜89年。原作=垣野内成美・平野俊貴。監督=平野俊貴。脚本=会川昇。音楽=川井憲次。クリーチャーデザイン=森本端泰。声の演技=渡辺菜生子。全4話。1話30分。

■TV版

1997年〜98年。テレビ東京で放映。全26話。第2話は欠番。原作=垣野内成美・平野俊貴。監督=平野俊貴。シリーズ構成=早見裕司。音楽=川井憲次。クリーチャーデザイン=門之園恵美。声の演技=長沢美樹。

 

「概要」

 「ヴァンパイアみゆう」と読むアニメ作品の主人公。「神魔」と呼ばれる怪物を狩る「監視者」。かって「西洋神魔」であった「ラヴァ」と呼ばれる仮面の青年と行動を共にする。
 内容的には、基本的なフォーマットは美夕が神魔(怪物)を狩るという「ゲゲゲの鬼太郎」や「どろろんエンマ君」と同様の「妖怪ハンター」ものであるが、それらの作品より、耽美的・幻想的色彩が強い。特にOVA版の美夕は美少年をたぶらかすなどの小悪魔的キャラクターとして描かれており、完全な「勧善懲悪」的作品とは断定できない作品である。なお、TV版は放送倫理の規約からか若干「勧善懲悪」的色彩が強い。
 なお、なぜ「第2話」が放送されなかったのか?についての謎については現在に至るも諸説が紛糾し判然としていない。

 

【イラスト解説】

 まず画面全体の構図に注目してみましょう。右下から伸びるギザギサした木と天辺の竹林、そして画面中央には美夕、その下には川。この構図をじっと眺めていると画面全体が見事に計算されつくした画面であることがわかります。

 まずギザギザした木、これは非常に厳しく鋭角的で、いわば「西洋風」です。しかしそのバックの竹林は非常に幽玄で穏やかな雰囲気です。ここに西洋的なるものVS東洋なるものの見事な対比を見ます。「美夕」の世界は美夕の和洋折衷なコスチュームからもわかるように西洋的なものと東洋的なものが微妙にブレンドされたオリエンタルな世界観を提示しているのですが、その世界観をこのイラストはイラスト全体の構図でズバリと表現しています。

 また画面中央の美夕とその下の川に注目してみましょう。美夕はヴァンパイアゆえに「時を超えた存在」です。それに対して「川」は「流れゆくもの」つまり「時そのもの」です。つまり時を超越した美夕の姿がこの美夕と川の対比によって見事に描き出されています。

 総じてこのイラストは画面全体の隅々まで計算しつくされた「完璧」な構図を持つイラストです。しかし「完璧」だからと言って画面が固定した冷たさに陥らないように美夕の背中の真っ赤な帯でアクセントがつけられている、まこと心憎いまでに配慮が行き届いた傑作イラストです。