種房宣言
リミックス・ヴァージョン
(AD2005.11.10)

(『機動戦士ガンダムSEED』を愛するすべての者のために。)

 

西暦2002年。
わたしたちの21世紀は始まったばかり。

そんな時代の日本。
長期不況・社会混乱にあえぐわたしたちの小さな国。

そんな小さな国の地上波のテレヴィ・プログラムとして、
土曜夕方に一本のアニメ作品がひっそりと放映された。
その作品の名は『機動戦士ガンダムSEED』。

『SEED』の人気は回を重ねるごとに上昇し、
今までアニメに縁のなかった女性・子供層までそのファンとして取り込んでゆく。

「種房」とはネット世界で、そんな『SEED』に夢中な人間に名付けられた、栄光に満ちた、蔑称である。




 ファーストガンダムを識らず、
「トミノ」という言葉が何を意味するのか。

そんなことは知らずともよい。

ただ「種」を愛する心があればよい。

いや、「愛する」ではなまぬるい。
種を渇望し、
種を貪り、
種世界へ没入してゆく。


「わたし、寝ても覚めても種世界の住人です。」
「キラ様を母親としてではなく、ひとりの女として愛しています。」
「『種』とこの世界で出会えたことを、両親に感謝します。」
「キラ様!あなたは神です!!新世界の神です!!!」
「田舎在住なので、夢にまでみたアニメートにやっと行けました。種グッズの山にクラクラしています。」


貴方がそのような者であれば、
この「種の部屋」は優しく貴殿を迎えるだろう。

さあ!踊りだそう!

ラクス・クラインの歌声に合わせて。
キラ・ヤマトの優しさを称え。
アスラン・ザラの激しさに憧れ。
カガリ・ユラ・クズハのひたむきさを賛美し。
マリュー・ラミアスの大いなる母性に抱かれ。
ムウ・ラ・フラガの崇高なる自己犠牲を賞賛せよ。

今宵の宴はまだ始まったばかり。

あらためてようこそ。
「種の部屋」へ。

このささやかな部屋は、
「種房」の「種房」によるすべての「種」を愛する者たちのための宮殿。

貴方の中にもまた種はある。
その種がいつか大輪の花を咲かせるその日を夢み。
今はただ戦え。
暗い暗い土の中で。
貴方自身の絶望と戦え。


(キラが本当に戦うべきものはなんなのですか?)


貴方よ。
朝の来ない夜などない。

大いなる光に満ちた世界へ、
種房同士手を取り合って、
さあ!
一緒に、往こう。

貴方の未来には無限の宇宙が広がっている。
その宇宙をめがけて死にものぐるいで挑むのだ。

あのアークエンジェルの搭乗員たちのように。

貴方よ。
今はただ踊れ。

今宵、宴は始まったばかり。

さあ、愛しき種房たちよ。
こころゆくまで踊り明かそうではないか。

いつか貴方が「種」を糧として
「世界」への第一歩を踏み出すその日まで。

「僕たちの世界は・・・」
(キラ・ヤマト、最終回最終場面の台詞)

 

 

注>この作品の初稿はガンダムSEEDファンサイト「種の部屋」管理人・ラクス・クリリンによって作成された。
今回、「黒猫詩歌館」内に『種房宣言』収録にあたって館長自ら大幅な手を加えこの「リミックス・ヴァージョン」が誕生した。

 

(決定稿2005年11月10日)