いきなりいくぞ!!
これが雑本だ!!!

 

荘厳なまでの雑本の群舞を見よ!!!

 

 

『べーしっ君』アスキー発行。初版上1987年1月20日。下1991年3月20日。

どうじゃ!?雑本第一弾は諸君にお馴染のテレビ・ゲームの漫画じゃ!!!なにい・・・??『ゲームセンターあらし』じゃと!?ふぉーーーーーふぉふぉふぉーーー・・・『あらし』など所詮はジョイスティックをやたらと叩きまくるだけの漫画。この『べーしっ君』の足下にも及ばんわ!!!この『べーしっ君』は一見単なるギャグ・マンガに見えるが、ゲーム・マニアでなくてはわからぬ薀蓄に満ち溢れておる。当世風に言えば「濃い」漫画なのじゃ!!さらに「すぽーん」「えびしょこーん」「どしえーーー」など斬新な擬態語があちこちに散りばめられておる!!プレステ2とやらに夢中な最近のゲーム・マニアたちよ。まず『べーしっ君』を読むことじゃ!!ゲーム道を極めるには正に最適な参考書といえるだろう!!ふぉーーーーーふぉふぉふぉーーーー!!!
『デカメロン』全日本出版社発行。書影は昭和27年10月号。雑誌。

どうじゃ!?この素晴らしい表紙絵は!?これぞ雑本の醍醐味!!グレイトなダイレクトさに満ち溢れておる!!!さて諸君。「カストリ雑誌」とはなにかご存知か!?なに!知らん!?ふぉーーーーーふぉふぉふぉーーーー・・・結構結構。カストリ雑誌とは戦後まもなく竹の子のように出現した一群の性風俗雑誌の総称じゃ!!戦前の『グロテスク』やら『デカメロン』(文藝市場社)が風俗雑誌でありながら、そこはかとない「気品」とやらを漂わせていたのと対照的にカストリ雑誌はそのものずばり気品もへったくれもない!!が信条じゃ!!その証拠に本書の目次を見よ!!「性に狂う愛欲地獄部屋」「裸クラブのお話」「洋娼の性器診断総まくり」「楽しい性愛アクロバット体位の運動」「赤線地帯わくわく横丁案内」・・・どうじゃ!?昨今のエロ雑誌も蒼ざめるこのダイレクトさ!!これぞグレエト!!キング・オブ・エロじゃ!!カストリ雑誌よ永遠に不滅なれ!!!
『とびだすえほん 怪獣大決戦』万創発行。初版昭和45年11月20日。外装なし完本。

グレエト!!グレエト!!!この本をグレエトと呼ばずなんと呼ぶ!?諸君。
ページをめくるないなや飛び出し、読者に襲いかかってくる怪獣ども!!ナース、ドドンゴ、ミクラスといったお馴染の怪獣からなんとジャイアン、シャモラーという『キャプテンウルトラ』登場の怪獣まで飛び出してくるこの凄さ!!まさしくパノラマ、総天然色の絵本型劇場の開幕じゃ!!観客を巻き込む演劇というと寺山修司の「天井桟敷」が有名じゃが、この『怪獣大決戦』は寺山修司よりさらに先を行く超前衛性に満ち溢れておる!!これぞ雑本ならではの試み!!児童書という仮面の下に隠された前衛性の発露よ!!ぐれーーーーーーーーーと!!!
『内臓レディ』中山たろう著。久保書店発行。昭和63年11月10日初版発行。カバ完本。

ふふ・・・ふぉーーーーーふぉふぉふぉーーー・・・腹から内臓を飛び散らせる可憐な美少女とは!?結構!!大いに結構!!!これぞ雑本の醍醐味!!!グレイトなキッチュさに満ち溢れておる!!
さてこの『内臓レディ』なる漫画、実は「勧善懲悪」モノじゃ。地球侵略を企むゾンビ教団を相手に「内臓レディ」蘭藤零が正義のために戦うというものじゃ。この時代であるからして当然「宇宙刑事」シリーズのパクリが沢山入っておるのもご愛嬌というものじゃて!!例えば蘭藤零が内臓レディに変身する時の掛け声は「脱腸!!」であったり、内臓をぐいーんと引き伸ばして「回腸ブレード」という剣を造ったり、必殺技が「十二指腸インパルス」というのじゃから愉快じゃわい!!しかしなぜ「内臓」!?その説明がない。これじゃ!!この「いきなりくる」ダイレクトさ!!これこそ雑本の醍醐味というものじゃて!!もし「内臓レディ誕生の秘密」などという陳腐な説明が加わったら面白みも半減じゃわい!!!読者は美少女が腹からびよーーーんと内臓を飛び散らせるのを見てキャツキャツ!!!と無邪気に楽しんでおればそれでよい!!そこそれが雑本の楽しみ方というものじゃて!!!
『女囚さそり超百科』外装なし完本。初版1992年12月30日発行。とか刊。同人誌。

お主、『女囚さそり』シリーズを観たことがあるか!?なに!!「岡本夏生」じゃと!!勉強がたりん!!雑本王国の住人たるならばもっと勉強せい!!「多岐川祐美」まで覚えておれとはいわんから、せめて『さそり』といったらピーンと「梶芽衣子」を連想するものじゃて!!!
さて本書は映画『女囚さそり』シリーズの「同人誌」じゃ。「同人誌」といってすぐに「やおい」を連想するのではまだまだじゃな!!この世にはもっと様々なジャンルの同人誌が沢山存在しておる。もちろん「同人誌」だからして入手は大変困難じゃ!!ブックオフで100円で買えるというものではないのじゃよ!!!ふぉふぉーーふぉふぉふぉーーーー・・・
さてこの『女囚さそり超百科』第一作「女囚701号 さそり」からVシネマで出た「女囚さそり 殺人予告」までストーリー、解説、作品データまで完全網羅しておる!!まさに「超百科」の名に恥じない造りじゃて!!さらに梶芽衣子へのインタビュー、官能作家・睦月影郎氏による『さそり』へのオマージュ的文章が載っていたりと至れりつくせりじゃ!!お主、この一冊でクラスの怪獣博士、ではなくさそり博士になれるぞ!!ふふ・・・ふぉーーーーふぉふぉふぉーーーー・・・とは言っても最近、『さそり』が置いてあるレンタル店が少ないということはちょいと悲しいことじゃのう・・・(しょぼん)
『わが心のフラッシュマン』中島梓著。初版1988年8月10日初版第一刷発行。筑摩書房刊。カバ帯完本。

さて特撮ファンなら誰でもしっておる「戦隊シリーズ」、そのうちの唯一作『超新星フラッシュマン』について本格的にまるまる一冊使って論じたのが本書じゃ!!やはり評論家たるもの、ここまでの「徹底ぶり」がなくてはな!!!さてこの中島梓女史、自分の子供がフラッシュマンを観ているのを観て自分も一緒に夢中になってしまう。ここまでは昨今の平成仮面ライダーに夢中な奥様連と同じじゃな。しかし中島女史の凄いのはここからじゃ!!「実現されなかった『幻のフラッシュマン』とはこういうものだ」と称して、自分自身の妄想で脳内補完されたフラッシュマンの物語を延々と語りだしてしまうというのじゃからもうただ者ではあるまいて!!そして最後には「物語とはなにか?」という哲学的論及まで及んでしまう!!フラッシュマンからここまで思考をめぐらすことのできる人物などそうはざらにはおらんて!!これぞ雑本的精神!!諸君も中島女史を見習って『デカレンジャー』を観て哲学的瞑想に耽ってみてはどうかのう!?ふふ・・・ふぉーーーーふぉふぉふぉーーーー・・・
『週刊少年マガジン1975年36号』外装なし完本。講談社発行。昭和50年9月7日発行。雑誌。

をを!!見よ!!!このデロリンマンの勇姿を!!!なに!?デロリンマンを知らんじゃと!!!だったら「グーグル」で検索してみよ!!そのような「探求の精神」もまた雑本道には必要なのじゃ。
さて漫画を読む際、単行本で一気に読む。これも一種の「読み方」であろう。次に雑誌連載時に読む。これが一番オーソドックスじゃな。漫画というものはもともと「雑誌サイズ」に合わせて書かれておるのじゃから、「雑誌連載時」に読むというのは理にかなっておる。カラーページも満喫できるしな。
そこでだ!!この世には自分の好きな漫画のページだけを雑誌から切り取りバインダーにまとめて保存しておる豪の者が沢山おる!!これぞ雑本精神!!!あくことなき漫画への執着よ!!!そんなグレイトな漫画マニヤにお主もなれるかな?ふふ・・・ふぉーーーーふぉふぉふぉーーーー・・・
『?』(判読不明)。外装なし完本。根本敬著。トムズボックス刊。1992年9月22日限998部発行。メリーさんの絵本NO40.

なんと!!この本の題名は「読めない」。いやわしの漢字能力が劣っているから読めないのではない!!「もともとこのような漢字は存在しない」のじゃ!!なんという・・・・・ぐれーーーーーーーーーーと!!!読めない漢字を題名にしてしまうとはこの本の作者・根本敬氏は只者ではあるまいて!!
さらに!!この本の内容はというとこれがわからん!!とにかくずるずるびちょびちょじゃ、へんなものがやたらとぶちまけられておる。これぞストーリーを超越した映像美!!偉大なる根本画伯が奏でる交響曲よ!!!読者は意味など求めずして根本画伯のねちょねちょぐちゃぐちゃ世界に浸っておればそれでよい!!これもまたひとつの雑本の「読み方」じゃ。
『読んではいけない本』田中四郎著。永岡書店刊。初版昭和55年4月5日。カバ完本。

な・・・なんという・・・なんという・・・こんなことが・・・『読んではいけない本』じゃと・・・「本は読むもの」という既成概念を題名からして破壊するこの超尖端性!!!グレイト!!!しかしじゃ。諸君。(ニヤリ)狂言の『ぶす』を知っておるのか?お主。そうじゃ。「絶対食べるな」と言われた食い物を家来二人がついつい食ってしまうというアレじゃ。この本もそれと同じ原理じゃな。「読んではいけない」と言われれば「読みたくなる」。なんという人間心理の機敏に通じた気の利いた題名じゃて!!
ところが諸君。本当に凄いのはこの本の内容じゃ。「人皮装丁の本」「今夜のごちそう・うじ虫料理」「女が男を犯す時」「殺しのプロにインタビュー」・・・どうじゃ!?しかもこれがなんと「子供向け」の本ときておる。つまり谷村真司の『天才・秀才・馬鹿』の隣にこんな本が本屋に並んでおった時代もあるのじゃて!!グレイト!!!こんな本を読んで育った子供はいったいどんな大人になるのじゃろうかのう?今から楽しみじゃて!!ふふ・・・ふぉーーーーふぉふぉふぉーーーー・・・
『パンドラ』昭和60年7月15日初版発行。一水社刊。雑誌。
お主、『レモンピープル』という雑誌を知っておるかいの?ふふ・・・現在、30代以上のおたくであるならば必ず知っているはずのエロ漫画雑誌じゃ。といっても1980年代のことだからいわゆる三流劇画とはまったく違う流れに属する系統じゃな。「キャラがカワイイ」。このことが「レモピ」の最大の特徴じゃ。この時代、「レモピ」の傍流雑誌が大量に出現しては消えていったのじゃわい。つまらぬ本は淘汰される。当然じゃわな。そんな「レモピ」傍流雑誌の中でもひときわ異彩を放っていたのがこの『パンドラ』じゃ。編集者があの知るひとぞ知る、伝説的フリー・ライター「蛭児神建」というのじゃから面白くならないほうが不思議じゃて!!執筆陣も「やまぐちみゆき」「雨宮じゅん」「番外地貢」とマニヤのツボを押さえた作りとなっておる。さらに蛭児神建の超濃いエッセイ「偏見雑学講座〜毛唐なんか嫌いだい〜」も載っておる。わしなどは昔『パンドラ』を買ったらこの蛭児神のエッセイを真っ先に読んだものじゃわい!!をを!!青春の美しき思いひでよ!!総じて「レモピ」より暗くダークで淫靡なのがこの雑誌の「売り」だったのじゃな。新評社からでておる『三流劇画の世界』のように1980年代のエロ漫画研究はそろそろ始まっても良い頃合じゃな。さあ、誰が一番先に書くのかのう?。最後にこの本の表紙中央部分を見てみよ。「愛は地球の足をすくう」なんという気の利いたコピーじゃて!!ふぉーーーふぉふぉふぉーーー・・・
『大槻ケンヂの謎』初版1993年11月20日発行。スピーチ・バルーン発行。
カバ完本。オーケンを勝手に好きになっちゃった会編著。

サザエさんから始まった「謎本ブーム」をお主は覚えておるか!?サザエさんからドラえもん、めぞん一刻、までまで漫画の「不条理な点」を合理的に解明しようとする一連の試みがこの「謎本」の核(コア)というわけじゃ。これっだけでも十分雑本的な試みじゃわい!!その当時、サザエさん一家の乗った飛行機が墜落してサザエさん一家は全員本当のサザエやカツオやワカメになるといった話が真面目に語られたというのだから愉快じゃわい!!さて本書もそんな謎本の一種であるのじゃが「自慰にとって美とはなにか」「アブノーマル・プレイヤーの告白」「落したネギが拾えるように」等、一見して大槻と関係ありそうなトピックが並んでおる。しかし!それは実は題名だけの話じゃ!!この本の著者は大槻のことからそれて自分の好きかってなことを書いておる。これは謎本失格かのう?ふふ。実はそうではない。「オーケンを勝手に好きになっちゃた会」の連中は大槻の表面ではなく、その隠された深部を暴こうとしているのじゃ。それ故、大槻と一見関係のない文章が並ぶに至ったわけじゃよ!!!この恐ろしいまでの掘り下げに大槻は恐怖したに違いないて!!。しかしロック・ミュージシャンたるものファンのこの程度のツッコミにビビッてどうする!?『特撮』の活動に今後も専念せい。それが15年以上にわたるファンであるわたしからの大槻へのメッセージじゃ。
『スーパーへんたいマガジン BILLY (ビリー)』1984年1月号。白夜書房発行。雑誌。
さて諸君。巷には「エロ雑誌」なるものがうじゃうじゃ存在しておる。もう数えきれぬほどにな。しかしそのエロ雑誌の中で後世の人間に記憶されてゆく雑誌はいったいどのくらいあるのかのう?わしは1%以下であると思うぞ。それほど内容のないつまらぬエロ雑誌がはびこっているということじゃて。
 さてこの『ビリー』、表紙を見れば他の凡百のエロ雑誌と変わらぬ。しかしまず目次を見てみよ。「こんな拘束具が欲しかった」「ウンコの花咲いた」「胎児畸形」「自宅で手術」「ルールを守って正しい自殺」、などなど。どうじゃ!?この雑誌、単なるエロ本を装った、SM、スカトロ、死体愛好、グロ、メディカルアートなどのアングラカルチャーの総合雑誌だったのじゃ。さらに友成純一の実質的なデビュー作といわれておる「残酷小説 人獣裁判」も連載されておる。あの「ライトで明るい80年代」にひっそりとこんな雑誌が発行されていたとはおどろきじゃて!!カストリ雑誌の再来か!?とにかくぐれーーーーー!!!これぞ本物の「ヤバイ雑誌」じゃて!!ふふふ。ふぉーーーーふぉふぉふぉーーー!!!
『ウルトラマン万葉集』朝日ソノラマ発行。初版1993年3月30日。椛沢雅哉著。カバ帯完本。
「短歌」。なんと優雅で良いものであるのじゃて!!わしとても若い頃は気のきいた短歌をヒマがあれば詠んでいたものよ。その短歌を「ウルトラマン」を題材にして詠もうと試みたのが本書じゃ。といっても試聴者がウルトラマンを観た「感想」を短歌にしたものではない。この作者はなんと「怪獣の心に成り代わって短歌を詠んでいる」のじゃ!!なんという・・・ぐれーーーーーーと!!!例えばウルトラマンの怪獣第一号の「べムラー」が詠んだ短歌はこうじゃ。「由緒ある 名前授かり 張り切れど 竜が森湖の 露となり逝く」。どうじゃ!?なかなか「もののあわれ」というものを感じさせる歌じゃて!!次に「エレキング」の詠んだ歌じゃ。「あづま湖に 電気売ります 札を立て 侵略資金 稼ぐは如何に」ふふ。なかなか風刺精神に満ち溢れた歌ではないか。しかしわしの一番好きな歌はこれじゃ。ピグモンについて詳しく説明する子供の母親が一言。「そうだけど なんでこんなに くわしいの 勉強だって身を入れてよね」。ふふ・・・ふぉーーーーーーーーーふぉふぉふぉーーーーーー。結局、ウルトラ怪獣も教育ママゴンにはかなわなかったということか!!ふぉふぉふぉーーーー!!!