男もすなる発句というものを
向 井 未 来)
〔新仮名表記にしています。〕
極月や男もすなる発句詠まん
口に手をあてぬ欠伸や春深む
菊月の女に繁し酒の会
ともすれば草矢受けがち尻臀
女にも口髭ほしき良夜かな
ひさびさの胡座や涼し籐を編む
しくじりし恋も吹っ飛ぶ盛夏かな
ふりかけのごとき柚子粉を冬至湯に
胸中の帳半ばや秋蛍
しがらみの甲羅捨つべし衣更
※ 連作俳句は内容あるいは主題が重なる複数の句で構成される一連の作品で、昭和6年ころから水原秋桜子によって
唱道され、10年ほどの間おおいに流行した。昭和9年発表された日野草城の「ミヤコホテル」十句が有名である。