第4章 言語の選択(2)

 

真実を語る言葉=人間の生理現象にさからうことのない言葉

 

ものごとを肯定し、同意するときの感動詞。それは、「はい」「イエス」「シー」「ウィ」「ヤー」「ダー」などのように、笑

 

顔や和らぎの表情で無理なく発することができる感動詞である。

 

一方、ものごとを否定し、拒絶するときの感動詞は、「ノー」「ノン」「ノ」や「プーシー」などである。「ノ」や「プ」など

 

をふくむ発声は、口を丸めるか、とがらすかして、さらには怒りながらでも発することができる、不平、不満の表情で使う感動詞

 

である。

(中 略)

 

 

だがこの星には、「いいえ」「ネイン」「ニェッ」などを否定の感動詞にもつ言語があり、その感動詞はたしかに、喜びの表情

 

でも、笑いながらでも発声できるのである。

 

(中 略)

 

 

さてもうひとつ、結論を先送りするような文法構造をもつ言葉は円熟した社会が用いる言葉であって、これから発展してゆこう

 

とする巨人族の世界には、あまりふさわしくないだろうということになった。

 

結論を先送りする文法構造とは、文末に結論がくる文法をさす。「・・・だ」「・・・ではない」「・・・なのか?」などで終

 

わるように、肯定や否定、疑問の意が、結末にくるまでわからない文法構造をいうのである。それは、主語のつぎに目的語がきて、

 

そのあとに動詞句が置かれる文法構造をもった言語である。

 

 

(中 略)

 

 

かくして言語選択の検討分科委員会は、結論を先送りするような文法構造の言語は、真実を語る言葉ではないとの判断をくだし

 

たのであった。

 

 

〔真理を知る言葉〕

(中 略)

 

 

ときには争いの発端ともなる《言葉》ではあるが、言葉の駆使によって人類は、心のほかに、閃きや第六感などの能力・才能を

 

大脳のなかにそだてている。閃きや第六感は、宇宙の原理や真理を知り得る手がかりを提供してくれる。この星の未来を背負うこ

 

とになる巨人族のためには、閃きや第六感のような感性が“日常の会話をとおして育ってくる言葉”がとり入れられなければなら

 

ない。

(中 略)

 

 

分科委員会はそのように、「真実を語る言葉」を理念の柱とし、「真理を知る感性がはぐくまれる言葉」で、かつ、混沌たる人

 

間関係のコミュニケーションの助けともなる、音声重視の言語を選ぼうとしたのである。

 

 

〔創造力をはぐくむ言葉〕

(中 略)

 

 

科学といえども、既成知識をふみ台にしながら進んでいく。だが科学は、どこまでも既成知識を順番になぞりながら進んでゆく

 

分野ではない。つねに、あるとき大きなジャンプがあって、突如として急激な進展をみてきた歴史がある。

 

 

(中 略)

 

まことに、脳内で機能している

 

宇宙との共鳴共振生理システムは、“真実を語る言葉”でそだてられ、“真理を知る言葉”を構築し、フィードバックして宇宙と

 

共振する“創造力をはぐくむ言葉”をつちかっているのである。

 

 

分科委員会での検討の結果、「真実を語る言葉」「真理を知る言葉」「創造力をはぐくむ言葉」を最も強く反映している言語と

 

みなされる、この地球上では英語とよばれている言語を選択したのであった。その言語は、平明簡易な単語を多用するので会話向

 

きであり、また、公用語としての話者が多く、インターネットの主要言語であり、全星に広く用いられているのであった。

 

 

 

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