初 景 色
向 井 未 来
元朝の御日しずくを断ち給う
ハッブル望遠鏡
ねじれ込む宇宙の端や初鏡
四次元へ四季のちょと逃げ去年今年
若者の血気や喧嘩梵天に
なまはげを数うに一匹二匹とな
狛犬のふと摩り替わる去年今年
海を背に初日を拝む羽後の海人
住み慣れし家並み山並み初景色
初荷など前を環八通りかな
去年今年終着駅の時刻表
なまはげの子のすやすやと母の膝
寓居をば出て界隈の初景色
初昔一つ重ねて句歴増ゆ
読みさしの栞を抜きて初読みす
背伸びして改札口の春著の娘
手に近きものが読初め鳥図鑑
猪口才な男で通し去年今年
〔 新仮名表記にしています。〕
秋田県潟上市・道の駅ブルーメッセでの元祖「へのへのもへじ」の案山子