『悪魔の飽食』(特装版)

 

 

森村誠一著。光文社発行。昭和57年4月5日21刷発行(奥付は通常版のものをそのまま使用か?)。「謹呈 50万部突破記念 光文社」と書かれた箋入。総革装。四方ちつ入り完本。 

 本書はあまりにも有名な満州731細菌部隊の内幕を描いたドキュメンタリー作品である。
 読者はそのあまりに非人道的な行いにまさに「人間は時として悪魔になりうる」ということを学ぶことが肝要である。
 戦争はこのように人間を狂わす。
 故に筆者と黒猫館住人一同は戦争に絶対反対である。

 さて本書はそのようなあまりにも有名な『悪魔の飽食』の特装版である。
 正直言ってこんな本が出ていたとは筆者は全く知らなかった。
 まさに文字通りの「珍本」である。
 しかし珍本と言っても堅牢な革の表紙は重量感が抜群、題名が彫られた四方ちつも非常に良い味を出している。
 まさしく『悪魔の飽食』というあまりにも重い内容の一巻にふさわしい装釘である。

 さて本書には「謹呈 50万部突破記念 光文社」と書かれた謹呈箋が入っている。
 出版の世界には村上春樹の『ノルウェーの森』(新潮社)など爆発的に大ヒットした本は出版社が「特装版」を作る、という都市伝説があるが、本書も恐らくそういう類の本と推測される。

 一般に書店で売られた本ではないので、なかなかに入手は困難であるが『悪魔の飽食』という本に「骨の髄まで」魅入られた人は本書をぜひ探してください。

 そのように自信を持ってお勧めできるほどガッチリとした魅力のある装釘の本である。

   

(黒猫館&黒猫館館長)