『破滅によせて』

 

 

 水無月亜夜著。黒猫館発行。初版1999年9月9日。カバ完本。定価999円。

 ある日、わたしは秋田市のブックオフで本書をちらり見た。
 そのときは、良くある部類の自費出版の詩集だろうと思って歯牙にも止めなかった。

 その後、2〜3年後東京の古書店でまた本書を見かけた。
 わたしは「アレッ!」と思ったが偶然の一致であろうと再度、本書を見送った。

 さらにその五年後ぐらいのある日のことだ。
 わたしはまた秋田市のブックオフで本書を見かけた。なにか奇妙である。まるで本書にわたしが付きまとわれているようだ。
 ついにわたしは観念して本書を購入した。

 それからわたしはネットで本書を調べてみたら、なんと本書は国会図書館に収蔵されているというのだ。
 これは尋常ではない。単なる自費出版の詩集の粋を超えている。
 わたしは謎めいた本書をじっくり読んでみることにした。

 さて本書は詩集である。
 それも一見するとヴィジュアル系ロックの歌詞のようであるが、良く読んでみると極めて正統派の詩群であることがわかる。

 どうもこの著者の「水無月亜夜」なる人物は「マジ」であるようなのだ。本気で本書を世に問おうとしているようである。
 そういう点で凡百の自費出版の詩集と本書は一線を画している。

 さらに本書にはISBNコードがついていない。
 そのようなマイナーな詩集が全国の古書店で散見される。これは不気味である。奇妙である。
 このようなさまざまな意味でわたしは本書になにか呪術的なニュアンスを感じてしまうのである。
 昨今ではネットの世界でもじわじわ本書の知名度はあがっているようである。

 さて本書の古書価は全く定まっていない。
 運がよければ100円で掘り出せるだろう。

 わたしはこの古書の世界の隠しキャラとも言える不可思議で謎めいた詩集を応援したい意気込みから、読者の諸君にもこの不思議な詩集を強く推薦する。

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)