『妖女たちの乱舞』

 

  

たつみひろし著。三和出版発行。平成元年8月15日発行。定価1200円。カバ完本。カラーページ4枚。 

収録作品>「豪華カラー口絵」「お顔の上で・・・ごめんあそばせ」「ぺディキュアクラブ-原宿支部-」「隷虫志願」「悪女のM玩具」「プレイ・オン・ブルーディ」「被虐の輪廻」「マゾ病棟」「1000年女王」 

 

 昭和時代のM男性ご用達の雑誌であった『スレイブ通信』に発表されたたつみひろし氏のマゾ劇画を一冊にまとめたものが本書。
 本書ではS女性はとことん大きく、M男性はとことん小さく描かれている。
 こういったやや大げさな誇張は好き嫌いが分かれるであろうが、マゾヒストの心理から言えばS女性には大きくあってほしいという願望の現われであるのかもしれない。
 肝心の「責め」は顔面騎乗・鞭・黄金などオースドックスなものが中心。特に顔面騎乗マニヤには堪えられない内容と言って良いだろう。
 筆者としては巻末の「マゾファンタジー」と銘打たれた「1000年女王」をお勧めしたい。
 魔女崇拝とサバトを絡めた妖しいSM劇画に仕上げられている。

 さてたつみひろし氏は一時期、あのマゾ画の巨匠・春川ナミオの後継者と見られた時期もあったようであるが、最近の活動はごく普通の官能劇画を描いておられるらしい。
 ファンからすればもう一度この時期のような激しいパッションに満ち溢れたマゾ劇画をもう一度描いてほしいものである。

 なお本書は官能劇画としては出ないほうの部類に入る。ブックオフで掘り出すのは至難の業であろう。アダルト書籍専門店に行けばある程度の古書価は張るが入手しやすい。古書価は3000円前後か?

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)