【西欧滞在日記 その49】帰国(弐)

 

 ツアー一行は三度目のシャルル・ド・ゴール空港に到着。
 ついに本当に欧州とお別れである。
 わたしは欧州最後の記念に約10日前に日本から到着した時に食べたものと同じアイスクリームを食べた。

 アイスクリームの味はあの時よりほんのちょっぴり甘く思えた。

 やがてエール・フランス便成田空港行きのアナウンスが入る。ツアー一行が一本の紐のように整列する。どやどやと音をたてながら飛行機への乗り込みが始まる。

 さらば、シャルル・ド・ドゴール空港、いつになるかわからないがわたしは必ず帰ってくるぞ。・・・

 そんなことを考えながら椅子に着席する。
 スチュワーデスのお姉さんが微笑んでいる。
 わたしのとなりには別のツアーのオバサンふたり組みが着席した。

 やがて飛行機のエンジンがかかる。
 静かに滑走を始める飛行機。
 飛行機は徐々に速度を増してゆく。

 「ごお〜・・・」という音と共に飛行機が離陸する。
 わたしはぐったりして席に座り込んだ。

 「帰国開始か。・・・」
 やがてスチュワーデスが赤ワインを運んでくる。
 赤ワインを一杯やりながら、わたしは考えた。

    

 なにかわたしは今回の旅行で一回りオトナになった気がする。
 なぜか・・・?
 考えているうちにも飛行機は上昇をつづけ、ついに雲を突破して青空が輝く高度に到着した。

 「パリは素晴らしい。東京も素晴らしい。だからと言って秋田が素晴らしくないわけがない。」・・・

 わたしの今回の欧州旅行についての総括が始まった。

 飛行機は只今ベルリン上空。

 まっしぐらに成田に向かって飛んでゆく。

 

 

 (黒猫館&黒猫館館長)