【西欧滞在日記 その37】ルーヴル美術館の午後(壱)

 

 

 ルーブル美術館はメトロポリタン美術館(アメリカ)などと並んで世界最大級の美術館であるとともに、バチカン美術館と並んで、ヨーロッパで最古の美術館である。
 創立者はナポレオンの外交官であったヴィヴァン・ドゥノンと伝説される。

 ルーヴル美術館は、セーヌ川の右岸に位置する。
 建物は、1190年にパリ防衛のための城砦として築いかれたのに始まる。
 ルネサンス様式の宮殿に改築された16世紀のフランソワ1世の時代から ナポレオン3世の時代まで実に3世紀以上を費やして完成した壮大な建物である。 フランソワ1世以後の歴代王室の収集品を基として、 フランス革命後の1793年にフランス共和国により「諸芸術の中央美術館」として正式に開館した。
 ただし一般の人々への公開は1801年からである。

 

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 パリのカフェで昼食を食べ終わったツアー一行。(わたしはパスタを頼んで食べた)昼食後のけだるい雰囲気を漂わせながらツアー一行はあっという間にルーヴル美術館に到着した。時間は午後一時半。閉館はなんと4時である。
 ヨーロッパの美術館はそんなに遅くまで、親切に開館していてはくれないのだ。

 さてルーヴル美術館でまず驚くことと言ったらその分量である。
 「ルーヴル美術館を最初から最後まで全部観ようと思ったら三ヶ月かかる」といわれているそうだ。まさに膨大。まさに巨大建築物。日本の美術館とはスケールが違うのだ。圧倒されるわたしとツアー一行!

 そんな話を添乗員の吉永さんから聴きながら、バスから降りると、白髪の矍鑠(かくしゃく)としたご老人がたっている。このご老人こそ現地ガイドの中村さんであった。

 「なんとなく怖そうな老人だな〜・・・」とわたしが考えていると中村さんはいきなり「よおッ!」と元気な声を出した。推定年齢70歳以上と考えられる年齢とは段違いに元気な声である。

 ツアー一行はこの中村さんの前に集合して見学方法の説明を聞く。
 なんでももう閉館まで2時間半しかないので、剛速球の見学を強行するとのこと、中村さんの顔は厳しい。ツアー一行は黙って中村さんにうなずいた。
 キップ売り場でキップを買うと、即座に見学開始!

 入り口から美術館内部(ダリュの入り口階段)に入ったツアー一行を待ち構えていたものは、あのあまりにも有名な「サモトラケのニケ」であった。この彫刻はルーヴル美術館のシンボルとも言われているらしい。顔と手が欠損しているが、そのあまりにも華麗なダイナミズム!古代ギリシャの浪漫よ!

  

 ツアー一行は酩酊したようにサモトラケのニケの前でしばらく立ち尽くしていた。

 


 

(黒猫館&黒猫館館長)