【西欧滞在日記 その32】西洋の奇跡(参)

 

 昼食を食べ終わったツアー一行。
 関西から来た若い女性ふたり組みがなにやらはしゃぎ始めた。
 添乗員の吉永さんが元気の良い声をあげる。

 「ハーィ!みなさん、これから「護衛の門」をくぐってモン・サン・ミッシェルの中心部に入ります!内部では大きな声を出したり、はしゃいだりしないでくださーい!」

 関西から来た若い女性ふたり組みが「しゅん・・・」と萎んだところでツアー一行はレストランから再出発。いよいよ「護衛の門」をくぐる。

 「王の門」「護衛の門」と二重の鉄壁の防御に戦闘要塞としての凄みが伝わってくる。「護衛の門」をくぐると「大階段」がある。ここは見晴らしが非常に良い。大西洋の海の青さが眼に鮮やかだ。

 

  

 

 そしてさらに歩を進める。
 ようやく建築物内部に入るとそこは「修道院付属教会」である。
 いかめしい戦闘要塞の内部に存在する繊細なキリスト教会!
 わたしは思わずひざまずいて神に祈りを捧げたくなってしまった。

 「神よ・・・三位一体の神よ・・・わたしの古本コレクションがますます充実しますように・・・アーメン。」

 敬虔な祈り。
 キリスト教を信じないわたしがなんとキリストに祈りを捧げてしまったのだ。
 まさに奇跡!
 「西洋の奇跡」モン・サン・ミッシェルの持つ驚異の効果!

    

 周りを見ると中里カップルも宮崎老夫婦も関西から来た若い女性ふたり組みもみなウッスラと眼を閉じ、キリストに祈りを捧げているようだ。キリスト教に縁のない日本人に祈りを捧げさせてしまうとは。

 「「世界遺産」の肩書きは伊達ではない!恐るべきモン・サン・ミッシェル!」

 わたしはモン・サン・ミッシェルの持つ磁力に改めて感動してしまった。

 付属教会の次は「ラ・メルヴェイユ(驚異)」と呼ばれる廻廊がある。

 果たしてその「驚異」とはいかに・・・?

 

(黒猫館&黒猫館館長)