エディシオン・アルシーヴ

創設は1980年代初頭。極めて謎めいた出版書肆である。基本的に海外文学を扱うが、従来型の英米仏だけではなく、ラテン・アメリカ文学を積極的に取り上げたりと、極めて先進的な活動を行った。本の装丁もこの当時としては破格のものだったのではないだろうか?現在確認されている本は『ソムニウム』叢書4冊と雑誌『ソムニウム』のみであるが、読者諸氏からの情報を乞うしだいである。 

 

 

 

『水蜘蛛』

マルセル・ベアリュ著。田中義廣訳。

1981年10月10日初版発行。函・外カバ・帯完本。序文A・P・マンディアルグ。ソムニウム叢書第一巻。表題作はエロティクな幻想小説。他に「向いの家」、「最後の瞬間」、「読書熱」、「百合と血」を収録する。この本は出易いが、帯欠本が多い。完本も全く出ないというわけではないので、完本をお求めの方は焦らず、じっくり捜索されることをお薦めする。古書価は定まっていないが、大体2400円〜3500円というところだろう。初心者の方にお薦めです! 

 

 

 

『アウラ』

 カルロス・フェンテス著。安藤哲行訳。

1982年8月20日初版発行。函・外カバ・帯完本。ソムニウム叢書第二巻。表題作「アウラ」と短編集「仮面の日々」を収録。原著者カルロス・フェンテスはメキシコの著名な長編作家。表題作「アルラ」は空間と時間の交錯した異世界を描いた幻想中篇小説。「仮面の日々」はフェンテスの処女短編集。この本はなかなかでない。入手は極めて難しい。根気で探すしかあるまい。古書価は定まっていないが、大体3000円前後。 

 

 

 

『ホーニヒ・ベルガー博士の秘密』

ミルチャ・エリアーデ著。直野敦・住谷春也訳。

1983年8月10日初版発行。函・外カバ・帯完本。ソムニウム叢書第三巻。表題作に加えて、中篇「セランポーレの夜」収録。エリアーデはルーマニア出身の宗教学者兼作家。表題作は幻想的な宗教小説といえる。本書はよくでてくる。それほど苦労せずとも入手可能。古書価は定価程度。 

 

 

 

『白羊宮の火星』

アレクサンダー・レルネット・ホレーニア著。前川道介・平田達治訳。

1984年4月10日初版発行。カバ完本。ソムニウム叢書第四巻。長編小説。本書は第二次大戦中に書かれたという。、戦争に関する史実と幻想的なイメージが交錯する独特の幻想小説となっている。本書はあまりでない。といってもまったくでないわけではないので、根気で探せば入手可能。 古書価は3000円程度。