『中学生殺人事件』

 

 

 

川島のりかず著。ひばり書房発行。初版1988年10月16日発行。定価580円。カバ完本。

 1980年代末期のバブルに煽られて、倒産寸前のひばり書房が「ショッキングコミックス」と銘打ち発行したシリーズただひとつの一冊。本書発行後にひばり書房は倒産する。故に本書は名実ともにひばり書房最後の本である。
 「ヒットコミックス」との差別化を計ったのか、版型が新書版よりやや大きく「見返し」もついており、漫画本にしてはやや豪華な装釘となっている。
 内容は精神的に追い詰められた中学生が両親を惨殺するというシンプルなもの。シンプルであるからこそマイナー系怪奇漫画の題材には非常に合っているともいえる。

 さて本書は噂によると発行部数は1000部に満たなかったのではないか?と推測されるほど出にくい本である。80年代に多発されたひばりヒットコミックスとは桁違いに発掘が困難な本である。
 しかし非常に運がよければブックオフ的古書店でも発掘が可能。専門店だと万の値段は覚悟しなくてはならない。

 装釘について付け加えておくと本書の書影にある「帯のようなもの」は本当の帯ではなく印刷である。

 総じて倒産寸前の断末魔のひばり書房が生み出した怪書ともいえる希少本。

 

 

 黒猫館&黒猫館館長