おにいさまへ・・・

(御園緒奈々子)

 

 

 

 

【パラレル・ストーリー】



奈々子「おにいさま・・・涙が止まりません!」
辺見「奈々子、どうしたんだい?」
奈々子「おにいさま、いつ独逸からお戻りになったんですか?」
辺見「いや、薫のやつが「亭主元気で留守がいい、なんて言うもんでね、ハーッハッハッハ。」
奈々子「おにいさまもおつらいんですね。」
辺見「ところで、どうした?奈々子。」
奈々子「だって!幻のカルトアニメと呼ばれた
『おにいさまへ・・・』の再放送が最近さっぱりないんですもの!」
辺見「奈々子、『カルトアニメ』というものは
そういつでも誰にでも観られるというものでは駄目なんだ。
ソロリティメンバーズのように『選ばれた者』だけ
が鑑賞できるアニメ、それが『おにいさまへ・・・』じゃないのか?」
奈々子「おにいさま、わたしもうソロリティを脱会してるんですけど。」
辺見「まあそんな細かいことはどうでもいい。
それより今春、『ベルばら』の宝塚再演がある。
『ベルばら』の人気が再燃すれば『おにいさまへ・・・』の人気も復活するさ。」
奈々子「要するに『おにいさまへ・・・』は『ベルばら』のオマケ・・・』
辺見「いや、そういうつもりでは。。。」
奈々子「おにいさま!やっぱり涙が止まりません!!」

完。

 

 

  【解説】

 『おにいさまへ・・・』は池田理代子原作で1974年初出、「週刊マーガレット」に連載された。
 アニメ化は1991年。NHK放送。全39話。
 原作を遥かに凌駕したエキセントリックかつ耽美的色彩の強い演出でカルト的人気を得る。
 監督は出崎統。

 名門女子学園・私立青蘭学園に入学した奈々子は生徒会長・一ノ宮蕗子の推薦で半ば強的に貴族的社交グループ「ソロリティ」に入会させられる。
 そして巻き起こる奈々子への一般生徒のイジメ。
 ソロリティ内部での嫉妬・裏切り・羨望。
 そして暴かれてゆく蕗子とその妹・朝霞レイの秘密。
 葛藤する複雑な人間関係の中で奈々子は少しずつ精神的に成長し始める