人魚の森

 

 

 

【パラレル・ストーリー】



登和「ねえ、佐和さん。」
佐和「・・・あいよ。」
登和「結局、人魚塚で焼け死ぬこともできなかったわねえ。わたし。」
佐和「・・・あいよ。」
登和「このまま永遠に生き続けるのかしら?」
佐和「・・・あいよ。」
登和「『あいよ』だけじゃなくてなんか気の利いたこと喋ったら?ねえ、佐和さん。」
佐和「結局、わたしも心臓が蘇生して生き返りましたです。」
登和「ねえ、人類が滅亡してもわたしたち生き続けるのかしら?」
佐和「・・・あいよ。あたり一面の焼け野原で生き続けるんでしょうねえ。」
登和「地球に氷河期が来ても生き続けるのかしら?」
佐和「・・・あいよ。氷漬けになって生き続けるんでしょうねえ。」
登和「地球が太陽に呑み込まれても生き続けるのかしら?」
佐和「・・・あいよ。太陽の火に焼かれながら生き続けるんでしょうねえ。」
登和「太陽が赤色巨星になって、それからブラックホール
になっても生き続けるのかしら?」
佐和「・・・あいよ。ホワイトホールから飛び出して生き続けるんでしょうねえ。」
登和「この宇宙が終わる時、わたしたちどうなるのかしら?」
佐和「・・・あいよ。宇宙が終わってもわたしたちは生きてるんでしょうねえ。」
登和「なにか矛盾してない?ねえ。佐和さん。」
佐和「登和さん、不老不死というものがそもそも矛盾
しているのだから仕様がないのですばい。しょうがない・・」
登和「わたしたちの創造主であるルーミック神に祈りましょう。」
佐和「それがいいですばい。」
登和・佐和「ルーミック神様、はやく『人魚の森』シリーズ
を終わらせてください。アーメン。」

(夕日)。

完。

 

 

 【解説】

 『人魚の森』は高橋留美子原作の漫画として1988 年に初出。発行元は小学館。その後、1991年にOVA作品として「人魚の森」が製作される。さらに2003年テレビアニメとしての「人魚の森」が製作された。
 テレビアニメでは「人魚の森」は複数のエピソードのうちの一本という形で製作された。

 不老不死の妙薬として知られる「人魚の肉」、その肉を食べて500年の時を生きる主人公・雄太と真魚(まな)が左手に包帯を巻いた奇妙な女(登和)と出会う。
 そして解き明かされていく登和とその妹・佐和のあまりに忌まわしい秘密。

 本日のお絵かきは人魚の肉を食べて左手が怪物化した登和の姿。