『掟』

 

 

シネ・マジック発売・発行。初版1993年4月。帯・CD付き完本。

 90年代を代表する女王様のひとりである李楼蘭の唯一の著作。写真集などで李女王の写真を見ることはできるが、李女王の文章が読める本は本書のみである。本書は「第一章・不思議」「第二章・甘毒」「第三章・赤い液体」という李女王の半自伝的エッセイと李女王作の短編小説「ハンマー」、李女王作詞の歌詞三篇を収める。また附録のCDには奴隷の告白、李女王へのインタヴューを収める。総じて90年代のSM界をリードした李女王の素顔を垣間見ることのできる好著となっているとみてよかろう。
 さて李女王といえば「エゴマゾ」問題でSM界に大旋風を巻起こし、ビデオ『暴虐のバイブルT〜V』で主演を務めるなどその活躍には眼を見張るものがあったと記憶している。雑誌「宝島」紙上で「エックスジャパンのYOSHIKIを奴隷にしたい」などの過激な発言で話題を振り撒いたのも90年代初頭である。しかしその後、李女王は引退を宣言、現在では紹介によってしか彼女の調教を受けることはできないという。
 バブル期に花開いたSMブームの残り香を濃厚に伝える一冊である。
 なお、本書は古書店より中古CDショップでより入手可能。もともと定価が高い(3900円)ので結構な値段が付いている可能性はある。
 筆者はホラー映画『ブレイン・デッド』上映中の映画館で本書を入手したが『ブレイン・デッド』と本書がどういう関係であったのか今もって不明である。