七人ライダーは見た!

大首領恐怖の正体

 

(黒猫館館長・作)

 

 

『仮面ライダーストロンガー』最終回。

マシーン大元帥とその部下、磁石団長とヨロイ騎士、そして再生怪人軍団を倒した七人ライダー。

今、七人ライダーは最後にして最大の敵がこもっている奇岩山に向かって立つ。

その時、奇岩山の中腹に面した人面石の口がゆっくり動いた。

「ごきげんよう、七人ライダーの諸君。
わたしの直属部隊として地球に派遣したデルザー軍団のメンバーをひとり残らず葬ったその実力。
わたしはあくまで高く・・・高く・・・評価しよう。

しかし七人ライダーたちよ。
おまえたちの努力も残念ながらこの場所・この時間で終わりだ。」

ストロンガーが怒りをこめて叫んだ。

「天が呼ぶ。
地が呼ぶ。
 人が呼ぶ。
 悪を倒せと俺を呼ぶ・・・

 戯事を申すな!
 正体現せ!
 デルザー軍団の首領!」

その瞬間、人面石の奇怪な顔面がニヤリと微笑んだ。

「わたしが『デルザー軍団の首領』だと・・・
笑わせるな・・・
その程度の存在であると思っていたのか。
このわたしを。

 よく聞け。
 七人ライダー。
 わたしの声をもっと耳をすませてな・・・」


その瞬間、一号ライダーが呟いた。

「この声はもしや、ショッカー首領・・・」

二号ライダー

「ゲルショッカーの首領!」

V3

「デストロン!」



「GOD!」

アマゾン

「ゲドン!」

ストロンガー

「ブラックサタンの首領!」


「ふぉふぉ・・・
ふぉふぉふぉ・・・」

七人ライダーを嘲るような笑い声が響く。

「そのとおりだ、七人ライダー、おまえたちすべての共通の敵、それがわたしなのだ。」


七人ライダーが声を揃えて叫んだ。

「ええい!一体おまえは何者だ!?
 正体現せ!!奇岩山の人面石よ!!」

人面石がゆっくりと口を開いた。

「七人ライダーよ。
おまえたちには決して最終的な勝利などありえない。
今、おまえたちが見ている人面石もまたわたしの仮の姿でしかない。

今から約5〜6年後に新たな組織、『ネオショッカー』が現れるだろう。
そしてドグマ、ジンドグマ、バダン、ゴルゴム、クライシス帝国、
そして財団、グロンギ、ロード、ミラーワールド、スマートブレイン、アンデット、
魔化魍、、、次から次へと新たな「悪の組織」は生まれ続けるだろう。」

ストロンガーが言う。

「なぜ?
 なぜおまえはそんな未来のことまで知っている?
 なぜだ!?」

人面石の鉛色の声が重く響く。

「はっきり言おう。
 おまえたちもまたわたしの手先でしかない。・・・
 おまえたちの戦いはあらかじめ計画されたシナリオに基づいている。
 
 『伊上勝』、この男を操っておまえたちの戦いのシナリオを書かせたのはこのわたしだ。
 そしてやがて来る21世紀、伊上の息子である『井上敏樹』が新たなシナリオを書くだろう。
 そして井上の次はまた新たなライターが登場しておまえたちのシナリオを書く。

 未来永劫に紙の上で踊らせれている哀れなマリオネット、それが『仮面ライダー』の正体なのだ。
 そしてそのマリオネットの術師に給金をだしている『スポンサー』、それがわたしなのだ。」

一号、「スポンサー!」
二号、「スポンサーだと!?」
V3、「スポンサー!!!」
X、「スポンサー・・・もしかしたら俺たちはこいつにだけは勝てないかもしれないな・・・」
アマゾン、「たとえスポンサーであるとも、、、俺は戦う!!」
ストロンガー「なるほど、、、『スポンサー』か。良く聞け。スポンサーとやら。
おまえの言いたいことは唯ひとつだ!それは「この世はすべて金しだい」ということだ。そうだな?」

人面石がゆっくりと答える。

「さすがはストロンガー。
 七人ライダーの中でも一番読みが深い。
 誉めてやろう。
 
 さよう。
 現代では資本の論理に勝てるものなどただひとりもいない。
太平洋戦争敗戦後、この国に訪れた奇跡の高度成長期、そして到来した高度資本主義社会。
 その社会で民衆に慰安を与えるため『テレビ』というマシンのなかでおどらされているくぐつ。
 それが七人ライダーおまえたちの正体なのだ。

 しかしわたしが存在している場所はいわば「テレビの外」。
 さよう、けっして「テレビの中」にいるおまえたちがわたしを倒すことなど絶対にできない。
 絶望せよ。
 わたしの勝ちだ。
 七人ライダー!」


ストロンガーが微笑んだ。

「笑わせるな。スポンサーとやら。たとえテレビの中であろうともテレビの外の子供たちは俺たちの戦いをしっかり
 と見ていてくれる。

 その子供たちは俺たちの戦いから「勇気」「希望」「愛」「友情」を学びとるだろう。
 そしてその子供たちがやがて逞しい大人へと成長した時、「本当の戦い」は始まるのだ。

 俺たちの戦いはいわば未来へ希望を託す橋。

 決して無駄ではない!!

 『スポンサー』よ!!!」

一号、「そのとおりだ!」
二号、「異議なし。」
V3、「『ヒーロー番組は教育番組である』、この諺をスポンサー、おまえは知らないらしいな。」
X、「いつの日か・・・あるいはいつの日か、、、俺たちの戦いが報われる時が来る。
   少なくても俺はそう信じている。」
アマゾン、「スポンサー、覚悟しろ!」

人面石が不気味に笑む。

「威勢が良いのう。
 その負けず嫌いな根性、みごとよ。

 それではこれからも永遠に続いてゆくおまえたちライダーへの餞にわたしの本当の名を教えてやろう。

 わたしの本当の名は、、、、、、『バソダイ』!

七人ライダーが叫ぶ、

『バソダイ』!
『バソダイ』!!
『バソダイ』!!!


「それでは諸君、また会おう」
人面石がそう言った瞬間、奇岩山が爆発した!

(ガガガガ=========!!!!!!)

空中から降りそそぐ石、木、ドラムカン、なにかの破片。

大爆発が終了した頃にストロンガーが呟いた。。

「俺たちの新たな戦いはたったいま始まったらしいな。」

一号・二号、「ゲルショッカー首領を倒した時を思いだすな。」
V3、「バソダイか。また珍妙な敵が現れたものだ。」
X、「バソダイに俺たちは勝てないかもしれない。しかし勝てないと知っていても俺は戦う覚悟だ。」
アマゾン、「バソダイ!今にみていろ!!」

ストロンガーがまとめた。

「では潮時だな。
 新たな戦いが始まるその日まで、わかれようぜ・・・」

七人ライダー

「おう!!」



夕日に向かってバイクで去ってゆく七人ライダー。
それはまたライダーたちにとっての新たな戦いの序章であった。

これからも頼むぞ!!
七人ライダー!!

さらば栄光の七人ライダー!!
ありがとう栄光の七人ライダー!!!

 

「突っ走れ〜♪・・・空を飛べ〜〜〜♪、、、ブラックサタンを倒すまで〜♪」←ED

 

 

 

 

(2005年7月19日)