『リリカ 創刊号』

 

  

 

サンリオ発行。初版昭和51年11月1日発行。外装無し完本。大判。

 簡単に言ってしまえば本書は「漫画雑誌」である。しかしこの閲覧室で取り上げるにはそれなりの理由がある。まず本書は少年向けとも少女向けとも捉えられない。対象年齢層も不明である。ただこの本の巻頭では「思い出に残る本を造りたい」という創刊の主旨が述べられているだけである。また「『ユニコ』の手塚治虫先生とわたしたちはこの本がなにをしなくてはならないかを一生懸命話合いました」という記述があることから、この雑誌の方向性には手塚治虫の意見が大きく反映されているものと思われる。

 そのような経緯で本書を見てみると「なるほど」と思われる。少年誌に良く見られる「セックス」「バイオレンス」描写は全くない。また少女誌に見られるただ甘すぎるだけのラブ・ストーリーも掲載されていない。本書の主眼は極めてファンタジックな意匠を纏った「人間探求」であるとわたしには考えられるのである。

 また執筆陣も手塚治虫を始め、ちば・てつや、水野英子、永島慎二など超豪華。しかも全ページオールカラーというのだから極めて凄い。本文用紙も質の良い紙を使用している。従来の漫画雑誌より一段上のハイ・ブラウな漫画雑誌と言って良いだろう。

 さて本書は昨今、急激に古書価が上昇を始めている。欲しいひとは今すぐ古書店に行ってさがしていただきたい。その価値は十分にある本である。