『Mプレイ48手全集』

 

  

Mプレイ研究会編。ABS発行。無刊記。外装無し完本。軽装版。 

 本書はマゾヒスト男性のための「マゾプレイ」を48種類紹介したものである。本書の最大の特徴はそれぞれのプレイにまるで俳句の用語のような典雅が命名が為されている点である。例をあげれば「蝋燭責め」→『紅化粧』、「唾の吐きかけ」→『散蓮華』、「ビンタ」→『蜃気楼』、「乗馬プレイ」→『天城越え』、「幼児プレイ」→『女坂・男岩』、「運動強制プレイ」→『比叡』等など、中には思わず苦笑を誘うような命名もあるが全体としてはどこかしっくり合っているニュアンスがある。この本の編集者は恐らく相当の教養の持ち主だろう。また48手それぞれの詳細な解説、「Mプレイバリエーション18」と題して48手の「組み合わせ」の例を18パターン紹介したりと、正に類書にはない丁寧な造本は大変好感が持てる。「エロ本」にも貴賎があるというべきであろうか?

 最後に「あとがき」で「編集代表」なる人物が「今年でわたしの編集生活が10年を迎える。なにか記念になる本を作りたかった」とある。ここにわたしは名もなき「エロ本編集者」の執念をみる思いがした。やはり本にジャンルは関係ない。本の優劣を決めるのは唯、筆者・編集者の執念なのだ、と痛感したわけである。

 さて本書はまだゾッキ本屋を覗けば安く入手することも可能。今後プレミアがつく可能性があるのでこの筋のマニアはできるだけ早く押さえておくことが肝要であろう。