『吸血鬼』

 

 

 

H・H・エーヴェルス原著。前川道介訳。創土社刊。初版1976年8月15日発行。函帯完本。定価3800円 

 怪奇的な短編作家として有名なエーヴェルスの大長編物語。「すさんでぼろぼろになった極彩色の物語」という本書の副題がなによりその内容を雄弁に物語っている。女の血を求め世界を彷徨する主人公フランク・ブラウンの悲惨さが読者の心を打つであろう。

 さて本書は創土社本では一番出にくい本である。装丁も創土社本お馴染の厚紙函入ではなくずっしりと堅牢な固函入。そして函も本体も漆黒の黒。本を見ているだけで圧倒される、そんな本だ。