『のろいの顔がチチチとまた呼ぶ』 

 

  

古賀新一著。ひばり書房刊。初版1971年9月30日発行。カバ完本。定価260円。 

 1970年代の怪奇漫画シーンをリードした「ひばり書房」の怪奇漫画本の代表的一冊。マニアの間では70年代にでたひばり本は「黒縁」と呼ばれ珍重されている。80年代に入ってからのひばり本は日野日出志のものを除けば人気はあまりないようだ。

 さて本書であるが注目すべきはその題名である。黒縁ひばり本の題名は一度聞いたら一生忘れないようなインパクトのある題名が多い。例えば『少女がどろどろ流れる』とか『猿少女』とかとにかく見世物小屋感覚というかダイレクトな題名が多いのである。本書もその一例。

 内容はこの手の漫画本ではお馴染ともいうべき「人面巣」もの。しかしそこは70年代ひばりのホープ、古賀新一らしく一捻りしたストーリー展開となっている。

 さて老婆心ながらひばりの黒縁を完揃えしようなどという野望は抱かないほうが無難。一体どんな本が何冊でたのかも把握できない泥沼世界であるから、初心者の方は「ひばり黒縁」と聞いたらそっと場を離れるのが賢明である。