『世界の怪獣』

 

  

 

中岡俊哉著。秋田書店刊。初版1967年5月5日。函完本。定価320円。 

 子供向け猟奇本の定番ともいえる「怪獣本」。本書はその極めつけである。

 「象を殺した怪ガエル」、「謎の自爆怪獣」など胡散臭さ満点の「怪獣」がオンパレード。しかしこれだけなら微笑ましいと言うべきであろうが本書の特異点は怪獣の目撃者名・場所が詳細に記されている点である。要するに徹底したドキュメント・タッチで書かれているので「もしかしたら本当にいるのか?」と読者に思わせるのがミソ。それゆえ、虚構と現実の区別がついていない子供に本書を与えるのは極めて危険である。第一次怪獣ブームが生みだした異端の怪書というべき本である。