『金羊毛』 

 

 

 

東雅夫編集。幻想文学会発行。初版昭和55年6月9日。裸本完本。定価480円。 

 あのあまりにも有名な「季刊幻想文学」の前身の同人誌の創刊号が本書である。内容は池田得太郎『家畜小屋』(中央公論社)を発掘したりとかなりマニアックである。この時代は確か深夜叢書版の『家畜小屋』もまだ発行されていなかった気がするから、これがいかに画期的な仕事であったか納得がゆこう。倉阪鬼一郎氏の小説、『青猫の輪唱』も収録。これがまた「前衛的ホラー小説」といった向きで面白い。個人的には巻末の「日本幻想作家リスト」がお気に入り。コンパクトに大作家からマイナー作家にいたるまで網羅しているので資料価値は高い。かくして「季刊幻想文学」の伝説的事業はここから始まったのである。